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【薬剤師に聞く】ニゾラールのこと|脂漏性皮膚炎完治を目指すブログ

【薬剤師に聞く】ニゾラールのこと|脂漏性皮膚炎完治を目指すブログ
薬剤師に聞く ニゾラール

こんにちは。ルクレクサのすずけんです。
今回は、脂漏性皮膚炎でお悩みの方がよく使う
「ニゾラール」
について、
薬に頼り過ぎない薬剤師として活躍されている
たつる先生に聞いてみました。
皮膚科に行って処方されて、何となく使っている。でも、どうして使っているのかよくわからない・・・このような方のお役に立てれば嬉しいです。

・薬に頼り過ぎない薬剤師 YouTubeチャンネル

 

1.ニゾラールはなぜ脂漏性皮膚炎に使われるんですか?


疑問
脂漏性皮膚炎の原因は様々です。
その中のひとつに、マラセチアという皮膚の常在菌の異常増殖が挙げられます。
マラセチアというのはカビの一種で、正式名称マラセチア属真菌。
皮脂を好む性質のため、頭皮や顔面など、皮脂が多く分泌される部分に比較的多く生息しています。

マラセチアは、この皮脂が多い部分でリパーゼという酵素を産生して皮脂を分解します。その皮脂の分解産物から炎症を誘発する物質(サイトカイン)が分泌されて、周囲の皮膚が炎症を起こしてしまうんです。

つまり、脂漏性皮膚炎は
 異常増殖したマラセチアによって皮脂の分解が加速した結果、炎症が起きてしまう
が流れの一つとしてあります。

ニゾラールの有効成分は、ケトコナゾールという抗真菌成分。
真菌の細胞膜(エルゴステロール)の合成を阻害することで、真菌の増殖を防ぐ効果があります。イメージで言うと、、、「水風船の風船部分の強度を最弱にして、水風船を壊す」イメージです。

脂漏性皮膚炎の原因の一つのマラセチアは真菌なので、ニゾラールによってその増殖が抑えられます。

なので、ニゾラールは脂漏性皮膚炎の治療薬として、病院で処方されるんです。

◇余談1

ちなみに、余談ですが・・・
「エルゴステロール」どこかで聞いたことがあるような・・・という方もいるかと思います。実は、ビタミンD2の原料(正確には前駆体)です。シイタケやキクラゲなどの主にキノコ類に豊富に含まれていて、紫外線を浴びることでヒトの体内でビタミンD2に変換されて、重要な栄養素として使用されます。

なので、脂漏性皮膚炎の薬は
「エルゴステロール」合成を阻害する → 「エルゴステロール」は悪いヤツなんだ!
というわけではないですよ。あくまで真菌の構成要素の一つというだけです。

2.効果は?


検証
ニゾラールクリームは、1993年に発売されて、脂漏性皮膚炎への適用が追加になったのは1997年。20年以上前から使用されているおくすりで、現在も、脂漏性皮膚炎の治療薬として広く使用されています。

脂漏性皮膚炎に対する効果としては、販売前の臨床試験で79.1%の有効率(148症例中117例で有効)が出ています。
また、販売開始後、全国の患者さんを対象とした市販後調査では、65.9%の改善率(1,097症例中723例で症状改善)が出ています。(※数値はメーカーのインタビューフォームより引用)

なので、マラセチアの異常増殖を抑えるという点では、有効になります。

3.副作用は?


副作用の心配
ニゾラールは、脂漏性皮膚炎のおくすりの中でも、かなり副作用が少ないタイプになります。ただし、絶対にないというわけではなく、人によっては副作用が出てしまうケースもあります。

主な副作用としては、
・接触皮膚炎
・かゆみ
・赤み
・刺激感
などがあります。

このような症状が出た方は、すぐに使用を中止して、医師または薬剤師に相談することをオススメします。

4.長期連用しても問題ないのか?



先程解説したように、副作用の有無という点では、特に問題はありません。
が、だからと言って、長期連用してしまうと、重大な落とし穴に落ちてしまいます。。。

マラセチアは皮膚の常在菌といって、基本的に皮膚上に住み着いている菌の一種になります。そして、皮膚の常在菌にはマラセチア以外にも様々な種類の菌が生息していて、なんと約1,000種類の菌が共存していると言われています。
そこには、善玉菌や悪玉菌、どっちつかずの日和見菌が絶妙なバランスで均衡を保っています。

ニゾラールなどの抗菌剤は、その中の一部の菌のみを徹底して攻撃し続けます。なので、使い続けると、皮膚の常在菌の絶妙なバランスが崩れてしまい、逆に皮膚の状態を悪化させる可能性があります。
もちろん、明らかにマラセチアなど一部の菌の異常増殖が原因で脂漏性皮膚炎の症状が出ている場合は、まずおくすりを使って菌の異常増殖を抑えるというのが第一になります。

しかし、ある程度、菌の増殖を抑えることに成功して、皮膚の赤みやかゆみなどの炎症を軽くすることができたら、そこから先は、菌の増殖を抑える抗菌剤や炎症を抑えるステロイドを使い続けるのではなく、腸内環境の改善や栄養面の見直し、ストレス対策など、肌質改善に向けた取り組みに移行してみましょう。
そちらの方が、一見遠回りではありますが、脂漏性皮膚炎の根本的な悩み解消に繋がる道になります。

◇余談2

ちなみに、またまた余談ですが・・・
人体の細胞数は60兆個。それに対して、人体に生息している細菌は、なんと1,000兆個。実は細菌の数の方が圧倒的に多いんです。この細菌によって人体の恒常性が保たれているとも言われています。
なので、症状がひどい時は、その原因となる細菌を抑えることも必要ですが、それ以外のときは、うまく菌と付き合っていけるカラダ作りが一番理にかなっているかと思います。

5.ステロイドはなぜ長期連用が問題なのか?


暗中模索
脂漏性皮膚炎で病院へ行くと、基本的にはニゾラールのような抗菌剤と一緒にステロイドが処方されます。

ステロイドには、赤みやかゆみといった皮膚炎のツライ症状を和らげてくれる効果があるため、顔の赤みが引かない、かゆみがひどいなどといったときにステロイドを使用するのは、とても効果的です。
ただし、長期連用はあまりオススメできません。

脂漏性皮膚炎の流れをすごく簡単にまとめると、このような感じです。

①マラセチアの異常増殖→②皮膚が異常状態→③免疫反応が誘導→④赤みやかゆみといった症状

ステロイドはこの③の免疫反応を強制的に抑えることで、④の赤みやかゆみを抑えてくれます。そのため、ステロイドを使用することで、炎症悪化によるさらなる免疫反応誘導(②→③→④のループ)を食い止めることができます。
脂漏性皮膚炎やアトピー性皮膚炎など、皮膚トラブルで広くステロイドが使用されている目的の一つになります。

しかし、ステロイドはあくまで対症療法的な要素が強く、根本的な解決策というわけではありません。

また、ステロイドの働きとしては、この免疫反応を強制的に抑える作用(免疫抑制作用)以外にも、細胞の増殖自体を抑える作用(細胞増殖抑制作用)もあります。

そのため、長期間ステロイドを使用することで、その部分の皮膚が薄く弱くなってしまい、バリア機能が著しく低下します。また、ちょっとした刺激で毛細血管が損傷してあざなどができやすくなったりします。

ステロイドは、赤みやかゆみなどのツライ皮膚症状を抑えるという点ではとても有効なおくすりですが、あくまで症状がひどい時の一時的な対処という位置付けにして、むやみに長期連用することは避けましょう。
※疾患によっては、どうしてもステロイド長期使用が必要な場合もあります。現在ステロイド使用中で疑問や不安がある方は、一度専門の機関に相談してみましょう。

6.ニゾラールローションの特有のニオイは何なのか?


薬剤師
ニゾラールの有効成分のケトコナゾール自体は、実は無臭なんです。特異なニオイの原因は、基剤(添加物のこと)にあります。

ちなみに、ニゾラールは、かなり昔からあるおくすりなので、すでにジェネリック医薬品(他メーカーが製造する、有効成分が全く同じおくすり)も複数メーカーから販売されています。

ジェネリック医薬品は、有効成分は全メーカー統一なのですが、基剤や添加物は特に同じでなくても販売できます。なので、メーカーによって、使っている基剤が多少異なるため、微妙にニオイも異なります。

尚、本稿作成に当たり、数社、基剤について問合せしてみましたが、具体的にどの成分のニオイなのかまでは、残念ながら辿り着けませんでした。。。

【今回のブログ記事担当者】
たつる先生
「薬に頼り過ぎない薬剤師」として、
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