バスケットマンの失敗 〈第79号〉
高校入学後、迷わずバスケ部の体験入部をしました。
驚いたのは、その練習量の多さ。
バスケットボールを触ることもなく、約2時間、道路や山道を走り続けました。
途中で投げ出したくなるのですが、付添いの先輩や他に頑張っている同級生を見ているとそれはできませんでした。
翌日から激しい筋肉痛。
その状態でまた部活。
間違いなく陸上部の練習でした・・・。
ただ、1カ月もすると、大分慣れてきて、身体能力が飛躍的に上昇していました。
私は、長距離走が苦手だったのですが、随分楽に走れるようになっていました。
約3カ月後、3年生の部活引退と共に、私たち1年生もコートで練習できる日が来ました。
基礎的な練習ばかりでしたが、『やっぱりバスケは最高だぜ!』とボールを触れる喜びをかみしめていたことを思い出します。
優秀な監督、良い仲間に恵まれ、以前よりも激しくバスケに打ち込んでいました。
毎日の練習で教わったことはノートに書き残し『中学時代にできなかったことを高校ではやりたい』と心の中で唱えていました。
このノートは、いずれ4冊にも及ぶ大作となります。
高校時代の後悔と言えば、「部活引退まで勉強しなかったこと」が挙げられますが、よく思い返してみると、バスケの勉強は一所懸命やっていました。
少しずつ練習試合での出場機会も多くなり、結果、試合での動きも良くなってきました。
今までやってきた個人練習や、理論の勉強も、ここになって生きてきました。
2年生になり、自分達の世代になると、スターティングメンバーを争う位置まで来ていました。
強豪校でのまたとないチャンス。
部活での2時間30分の練習の後、さらに自主練として30分のランニング、30分~1時間の復習、週2~3回の筋トレ。
努力が報われていく楽しさを知り、さらに、さらに・・・と自分を追い込んでいきました。
でも、人間はメンテナンスなしで走れるロボットじゃありませんでした。
自分たちの代になって2か月後、練習でのキレが落ちていることに気づき始めました。
いつもできているはずのことがうまくいかなくなっている気がしました。
『練習不足か、方法が悪いのか?』
そう思って、試行錯誤していくのですが、精度は少しずつ落ちている気がしました。
それだけならまだしも、ある日、ジャンプの着地時に右足首を激しく捻挫してしまいました。
立てないくらいの激痛。もっと嫌なのは、練習から離脱することでした。
応急処置をして、回復しきらないうちに練習再開しました。
そして、3日もしないうちに、同じ部分を再度捻挫してしまいました。
部活での練習は休み、別メニューでの調整。
2週間後、復帰するも再び捻挫。
この時は、練習のし過ぎによる体調不良と、精神的疲労が重なっていました。
今までの情熱が嘘のように小さくなっていきました。
その後、ケガを恐れ、積極的なプレースタイルが影をひそめ、スターティングメンバー争いからは離れていきました。