【管理栄養士に聞く】肝斑の予防・改善にお勧めの栄養素とは
【管理栄養士に聞く】肝斑の予防・改善にお勧めの栄養素とは
日焼けや女性ホルモンバランスの乱れ等が原因で出来てしまうといわれている肝斑。
医療的にも難治性や再発性が高く、治療が難しいとされています。
今回は、「肝斑の予防・改善にお勧めの栄養素」について管理栄養士の視点から紹介していきます。
CONTENTS
<肝斑とは>
肝斑は主として両頬に対称性に生じる後天性の色素異常症である。
紫外線曝露および女性ホルモンが主たる悪化因子であることが知られており,特に紫外線曝露が発症要因として重要である。
毛細血管拡張症の合併例や皮膚バリア機能の不全例の報告もある。
肝斑は,光老化を基盤として寛解増悪を繰り返す難治性の色素異常症であることを認識して治療にあたることが肝要である。
(令和3年度美容医療診療指針より一部抜粋)
上記のように、肝斑は「紫外線」「女性ホルモン」が要因であり、「光老化※」により再発する特徴があります。
※光老化・・・長年紫外線を浴び続けることにより、皮膚に活性酸素が生じ、それにより引き起こされる老化現象のこと
肝斑は一見すると他のシミと区別がつかないため、以下の項目が当てはまるか確認してみてください。当てはまる項目が多い程、肝斑である可能性が高いと考えられます。
(自身で判断せず、出来る限り専門医に診ていただくことをお勧めします。)
□ | 妊娠中やピル服用中、または更年期に入ってからできた |
□ | 30~50代になって増えてきた |
□ | 薄茶色、または黒っぽい茶色である |
□ | 左右の頬骨にもやもやとした輪郭の薄い、大きなシミがある |
□ | 生理や更年期の影響で女性ホルモンの乱れを感じたことがある |
肝斑の悪化には、女性ホルモンの乱れが大きく影響するといわれています。
女性ホルモンのバランスが崩れることで、メラノサイトが活性化されて過剰に黒色メラニンが作り出され、肝斑が現れます。
また、ストレスは女性ホルモンの乱れに繋がることから、ストレスで肝斑が濃くなることがあるので注意しましょう。
<肝斑に有効な栄養素とは?>
1.トラネキサム酸
もともと抗炎症作用や止血作用のある薬効成分として人工合成されたアミノ酸です。
そのため、自然の食品から摂取することはできません。
シミの改善への効果が厚生労働省に認可されおり、肝斑の治療薬としても効果が認められています。
2.ビタミンC
抗酸化作用があり、メラニンの生成を抑制するとともに、メラニンの色を薄くする(シミを薄くする)効果があります。
3.ビタミンA(βカロテン)
抗酸化作用が強く、メラニンの生成を促進する活性酸素の作用を抑えます。
抗酸化作用の期待できるビタミンA、C、E(ビタミンACE(エース))は一緒に摂ることで、より高い効果が期待できるといわれています。
4.ビタミンE
ビタミンCの働きを助けるとともに、活性酸素の作用を抑える効果が期待できます。
5.L-システイン
肌の代謝に必要なアミノ酸の一種です。肌の代謝が乱れることで、シミや肌荒れのトラブルが起きやすくなります。
6.ピクノジェノール
フランス海岸松樹皮より抽出したプロアントシアニジンを主成分とする食品抽出物です。
強い抗酸化作用を持ち、その他に抗炎症作用、末梢血管拡張作用、血小板凝集阻止、ビタミンCの生体内作用に対する増強作用、皮膚に対する紫外線損傷の防止作用が期待できます。
臨床試験レベルでは婦人科領域(月経困難症、更年期障害など)に対する効果も報告されています。
上記の栄養素は、一般的に肝斑やシミの改善に効果が期待されるといわれていますが、肝斑の原因は紫外線曝露だけでなく、ホルモンバランスの影響もあるといわれています。
そのため、「皮膚の代謝に必要な栄養素(ビタミンB群、アミノ酸、亜鉛)」や「女性ホルモンバランスを整える作用のある栄養素(大豆イソフラボン、アミノ酸)」「良質な睡眠をサポートしてくれる栄養素(ビタミンB群、アミノ酸)」など、様々な栄養素をバランスよく摂取することも大切と考えられます。
<肝斑に効くレシピ>
○夏野菜たっぷり♪かつおのカルパッチョ風
<材料(2人前)>
・カツオ ・・・ 大1節(約250g)
・大葉 ・・・ 10枚(細切り)
・万能ねぎ ・・・ 5-6本分(小口切り)
・レモン ・・・ 1/2個(くし切り)
・オリーブオイル ・・・ 大さじ2杯
・しょうゆ ・・・ 適量
・おろししょうが ・・・ 小さじ1/2
<作り方>
・切ったカツオを皿に盛りつけ、大葉・万能ねぎをたっぷりのせて、オリーブオイル、おろししょうが、しょうゆをかけて、さらに上からレモンを絞ってお召し上がりください♪
○枝豆のサイコロサラダ(2人前)
<材料(2人前)>
・枝豆(茹で) ・・・ 100g
・パプリカ ・・・ 1/2個(さいの目切り)
・トマト ・・・ 中1個(さいの目切り)
・コーン(茹で) ・・・ 50g
・おろしにんにく ・・・ 小さじ1/2
・オリーブオイル ・・・ 大さじ1
・しょうゆ ・・・ 小さじ1
・塩 ・・・ 小さじ1/2
<作り方>
・ボウルに上記材料を入れて、よくかき混ぜたら出来あがりです♪
○肌の健康にお勧めの飲み物
・緑茶
緑茶に含まれるカテキンには強い抗酸化作用があることが知られており、その働きから加齢に伴う肌の衰えやシミの予防・改善に効果があるといわれています。
緑茶の栄養素は茶葉に多く含まれているため、急須で入れた「煎茶(浸出液)」より、粉末を溶かして飲む「煎茶(茶葉)」の方が栄養素が豊富に含まれます。
・どくだみ茶
どくだみは古くから民間薬として使われてきた歴史があり、「毒(老廃物)を外に出す(デトックス)」や「便秘の改善」「むくみの改善」など、女性には嬉しい効果が期待できます。
どくだみ茶を飲むことで、抗酸化作用による肌の老化防止、血の巡りの改善、それに伴う肌のターンオーバーの促進でのシミ・そばかすの予防が期待できます。
大量に飲むことで下痢や頻尿になることもありますので、飲み過ぎに注意しましょう。
・ルイボスティー
ルイボスティーも抗酸化作用のあるポリフェノールが豊富に含まれています。また、マグネシウムや亜鉛などミネラルも含まれており、ノンカフェインであることから、妊娠期に飲まれることも多いお茶です。
・ジャスミンティー
ジャスミンティーに含まれる香気成分にリラックス作用があり、不安を和らげストレスを軽減してくれる効果が期待できます。
肌の健康を保つため、シミを改善するためには、まず第一に「紫外線対策をしっかり行うこと」が肝要で、その上でビタミンやミネラル、抗酸化作用のある成分を摂取することが必要です。
しかし肝斑は、紫外線だけでなく、女性ホルモンの乱れやストレスも要因であるため、「規則正しい生活」や「質のよい睡眠」、「ストレスを溜めない」などの対応も大切です。
口に入れるもの、肌につけるものだけでなく、生活習慣を見直すことも意識してみてくださいね♪
<参考>
・美容医療診療指針(令和3年度改訂版) biyo2v.pdf (dermatol.or.jp)
・肝斑の症状・原因・治し方・シミとの違い(第一三共ヘルスケア)
肝斑(かんぱん)の症状・原因・治し方・シミとの違い (ssp.co.jp)
〈文章〉
あゆみママ
管理栄養士、薬膳アドバイザー、野菜ソムリエ
アメリカ在住中に最新のサプリメント情報に触れ、帰国後にサプリメント会社に就職。企画開発部で栄養素の機能性について学び、製品情報や栄養素に関する資料作成、情報発信を担当。
現在はクリニックで栄養指導を担当。記事執筆多数。