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夢の崩壊 〈第128号〉

店内のレイアウト、価格設定、備品の準備、ホームページの作成、イメージカラー、ロゴ・・・実際の作業は大変でしたが、アイディアは止まることなく出てきました。
12年近く構想を練ってきたからです。
開業資金も、一般的な相場の、20%くらいまで抑えることができました。
運転資金も、予想売上からすれば、想定の範囲内で、かなりの営業利益が残る、と考えていました。
加えて、エステティックコンテスト全国入賞経験、パリのエステサロンでの技術開発など、実績も積んできた。
これで後はうまくいく!
希望に満ちていました。

2013年の12月の店舗オープン時は、知人やその紹介(ほとんどが同業者)でご来店していただき、そこそこうまくいきましたが、それは数か月で終わり、その後は、損益分岐点を越えるのがやっと。
月に私が自由に使えるお金は5万円程度。
ユニクロで3足990円の靴下を買うことにすら迷う時期が続きました。

当時のお店は、マンションの6階にありました。
苦しい時は、
『いっそのこと、ここから飛び降りればもう楽になれるな・・・』
と週1回くらい考えていました。
私が勤めていたのは長期に連続成長をしていた優良企業だったため、給料も業界内では良く、ボーナスもちゃんと出ていました。
会社勤めをしている時は、
『俺はこんなところでは終わらない』
『この仕組みには課題が多い』
『ここが良くないんだよな・・・俺だったら』
と意気込んでいました。
それがこのザマ。

『キレイなホームページを構えて、あとは自分の技術力があれば大丈夫!』
周囲からも、
『鈴木さんなら大成功すること間違いないですね!』
と言われていました。
失敗も想定していましたが、本気では考えていなかった。
大企業の看板を下ろした私の力なんて大したことなかった。
これが事実なのに、認めるのに時間がかかりました。

今ならわかります。
大事なことは、「自分が」やりたいことではなく、
「顧客が」何を求めているかだと思います。
独立当初は、
「自分の夢を叶える」
ということが優先されていました。
でも、商品を買われる方にとってはそんなことどうでもよいことです。
そんな当たり前のことに気づけませんでした。
また、ホームページ、ブログ、ポスティングなど自分が汗をかかずに間接的に販売するようなやり方も、独立当初に選択するべきではありませんでした。
企業にいると、お客様が当たり前のように来るので、来た後のことを考えますが、独立当初はお客様なんてほとんどいませんから、方法も間違えていました。

改善の兆しを掴むのは、2年目を迎えようとしていた時。
失敗を受け止め、その上で、この先どうするか考え、動き始めた時でした。